語り継ぐ
火曜日。資料館(NCわかまつビル)の玄関の自動ドアを抜けた所で呼び止められました。
「東京大空襲を生き抜いた方が、10時前ぐらいに来られましたよ。」
と。

一枚の紙面いっぱいに、大変貴重な写真が。説明も添えられています。
中には、へその緒がつながったままの新生児と母親の焼死体があった事実も・・・
私の見たことのない凄惨な光景の中を生きてきた―――生きなければならなかった―――
どんな方なのだろう。
これまでに、どんな経験をし、どんなことを思いながら生きてこられたのだろう。
わざわざ来館されたということは、何か伝えたかったのではないだろうか。
会って、話が聴きたかった・・・
私が資料館に来るようになって、4年目になります。
この間、多くの戦争・戦時体験者に出会いました。
幼かった頃のお話を、まるで昨日のことのようにお話をしてくださいます。
戦争当時を知らない私も、その時代にタイムスリップしたかのように、「その時」の生活に入り込んでしまいます。
●町の子ども達がかわいがっていた犬が捕まえられてトラックに乗せられた時のこと。
「その犬がふり返って、なんとも言えない目で、ぼくたちを見るんだ。ぼくは、その犬の「目」を忘れることができないよ。」
●「小石の海から帰っていたら、グラマンがすごく低空で飛んできた。運転手の顔が見えるくらい近くで飛ぶので、怖くて怖くて腰が抜けそうだった・・・。家に帰ったら、お父さんに『よく帰ってきたな。』って、抱きしめられたよ。いつもはそんなことせんのに。」
●フィリピンで、ジャングルの中を一人で逃げた。ゲリラに殴られて、気が付くとはりつけになっていた。その時のこと。
「一番端の日本兵はもう、殺されててね。その首を私の前に持ってきて、指さしながら『お前もこうしてやる!』って言うんよ。
『もう俺も、これで死ぬんだなぁ。』って思ったよ。」・・・
そんな方々が、鬼籍に入られたり、体調を崩して、入院されたりしています・・・
なんだか焦ってしまいます。
今は、資料館閉館まで、一人でも多く来館してもらえるように、努力(「学習会」をがんばるくらいしかできないけれど・・・)するのみ。
閉館したら、少しずつ聞き取り活動をしようと固く心に誓います。