兵士たちの日常

兵士の話が続きます。

前投稿では、大陸行軍中の兵士の餓死、病死の姿をお伝えしましたが、島でも同様のことがあっていました。

ここでは、ペリリュー島の戦いの様子がわかる本を紹介します。

ペリリュー島の戦いを描いた漫画

およそ10000人の兵士のうち、34人だけが生き残ったペリリュー島の戦い。痛ましい戦いの様子を表した「ペリリュー~楽園のゲルニカ~」という漫画が資料館に置いてあります。昨年、著者の武田一義さんの話が新聞に載っていました。詳しい方に話を聞いたり、体験者の証言を聞いたりして、フィクションではありますが、できるだけ事実に近い内容になるように考えて書かれています。何度も現地に足を運び、実際に日本軍が隠れていた洞窟に行ったり、現地の人にも話を聞いたりして、「感じる」ことから分かる現実を書き表そうとしているところが素晴らしいです。 事実、キャラクターはかわいいのですが、内容は、凄惨です。


ところで、大変な思いをした兵士たちですが、入隊した期間や場所、また、上官の人柄などによって、経験は様々です。

「生きている」わけですから、一日の生活は、戦うことだけではありません。

朝起きて、ご飯を作り、掃除や洗濯、武器の手入れ、食料調達・・・。「兵士は何でもやった」そうです。

知り合いの御祖父さんの手記に、「白い」ご飯を炊くのは難しい話(水が汚くて)や、よく太った魚を捕まえることができて、その日のご馳走になった。ところが次の日、魚を捕った池の向こう岸に腐乱死体が浮いているのを見つけ、気分が悪くなったという話が書かれていたのを思い出しました。一方で、演芸会(得意な出し物をして部隊全体で楽しむ)の話が何度か出てきます。劣悪な環境の中でも、人間らしさを失わない姿に救われる思いがしました。


こんな姿もあります。

大切な人のことを思いながら過ごしていたのですね。・・・・

戦争中も平和な今も「生きる」営みは何も変わりません。


軍靴(ぐんか)と脚絆(きゃはん)

先日、軍靴の写真を撮っていたら、小野さんが教えてくれました。
「もったいなくて、普段は地下足袋(じかたび)を履いていたらしいよ。軍靴は大事に背嚢(リュック)に入れてね。」

調べてみると、険しい道を長く歩くので、靴底が外れて、裸足で歩く兵士もいたとか。ただ、裸足になると、体力の消耗がひどく、脱落する者もいたらしいです。

兵士の姿をいろいろと知ると、資料館に置いてある遺品を見る目が変わってきます。・・・・

※5月のブログ再投稿です。7月24日に平和資料館で開催する語り部の会を前に。
中村政夫さんのフィリピン戦での体験の内容理解をより深めるものになればと思い、3投稿を再投稿します。

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コラム

前の記事

風船爆弾
展示

次の記事

紙切れ一枚