紙切れ一枚

軍隊に入る命令書である召集令状

「アカガミ」と呼ばれた召集令状です。

「ありがとうございます」と言って受け取る姿を戦争中のドラマやアニメなどで見ますね。

実際のところ、どんな気持ちだったのだろう。と、考えます・・・。

紙切れ一枚と人の命が引き換えになる・・・

資料館には、軍服が展示してあります。

私は時々、この前に立って、思いを巡らせます。

ーーー「どんな人が着てたのかな?」「どんな思いをしたのかな。」ーーー

軍服の襟にある階級を表す記章


戦争中は、「階級」で「差」がつけられていました。

この軍服の持ち主は、「星が2つ」なので、一等兵だったんですね。「下から2番目」です。

初年兵(兵隊になって1年目)としての厳しい訓練を終え、軍隊生活にも慣れた一等兵だったのでしょうか。それとも、軍隊生活に慣れず、苦しい毎日を送った一等兵だったのでしょうか。

私は子どものころ、こうやって、「一人一人」の「生きる姿」を考えることができませんでした。

「こんな服を着ていたんだな。」「順番があったんだ。」と、事実を知るに留まっている自分でした。

だからかな?「兵隊」と言えば、勇ましく戦う姿を思い描いていました。

鉄砲を持って突き進む。戦果を挙げてこぶしを挙げる。…

そんな私が、今は、変わりました。

一人一人に家族があり、性格も違う。能力も違う。経験も違う。・・・と、一人一人のことを考えるようになりました。

どうしてかな?


資料館にあるたくさんの本をめくっていると、一枚の写真が目に飛び込んできました。

子どもと遊ぶ父親
子どもと遊ぶ父親

私は、今は亡き父との遠い思い出を思い出しました。体のぬくもりを思い出し、ほっこりした気持ちになりました。ーーーが、次に頭をよぎったのは、

人を殺すお父さんなんて、考えられない!

ーーー ゾクッとしました。

首を切り落とす、胸を突き刺す、銃口を向ける、・・・

これまでに見た、たくさんの残酷な写真が、一枚の紙きれではなくて、

「生きている人」として、私の頭で動き始めました。

子どもを肩車する、子どもと海水浴を楽しむ、子どもの頭をやさしくなでる、…
家族で食卓を囲む、家族で畑仕事をする、家族でスイカを食べる、…
友達とチャンバラをする、友達と魚をとる、友達と本を読む、…

平和な今と、何も変わらない日常が、兵隊たちにもあったんだ・・・

私は、いろいろなことを具体的に知ることで、想像する力をもらえたんだと思います。

「自分だったら」と想像できた時、平和を守る気持ちが強くなることを実感しています。

最近、

見えないものを想像することは、現代社会の様々な問題を解決する力にもなると思うようになりました。

そして、

気持ちがなえそうになった時、軍服の前で言います。
「紙切れ一枚にしないようにがんばります!」

※5月のブログ再投稿

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